todojunの真理を追究する日々

日々考えていることなどを徒然と書いていきます。

 赤い魚 / 伊藤サチコ

伊藤サチコさんの曲の中では明らかに異色なこの曲、最近はアルバム「僕の場所」の中でも1番気に入って聴いている曲です。どのくらい異色かというと、綾辻行人さんの「館」シリーズの「人形館の殺人」くらい異色です(わかりにくくてすみません)。でも曲の雰囲気は「囁き」シリーズのような感じです。幻想的です。
本当はぜひ1回曲を聴いてもらいたいのですが、残念ながらネット上に音源がないようなので、歌詞について少しだけ書きます。例によって曲からの引用を。

騒がしい音から 逃げまして
生まれ変わったら 生まれ変わったら
魚になろう

壁に立てかけた 一枚の絵に
あの赤い魚に なれたら理想的

そして お金のない優秀な画家の
薄汚れたアトリエの水槽で
君と二人だけのせまい世界で
愛の形を描いてもらおう

素敵な泡の音楽を奏でよう
君が死んだら僕は食べてあげる
そしていつまでも二人寄りそって
僕が死んだらすべて終わりさ

骨の砕ける音を・・涙を飲んで
静かに味わうよ 静かに味わうよ
そして二人は永遠に一緒さ
             伊藤サチコ「赤い魚」より

引用と言いつつ、かなり長くなってしまいました。全体から雰囲気を味わう歌詞だと思うので、抜き出しただけだとうまく伝わらないのではないか、と思ったのです。
これだけでちょっと独特な世界観に引き込まれそうなのですが、バックの演奏も本当に見事!と言ってよいくらい、この世界観にぴったりなのです。歌詞とヴォーカル、そして演奏がまさに一体となって、幻想的な世界観を作り出しています。
それにしても、サチコさんがこういった歌詞を書くことがすごく驚きで、はじめのうちはちょっとなじめませんでした。どちらかというと、以前紹介した「宿題」のように、シンプルでわかりやすい曲が好きだったのです。非恋愛系の曲も多かったし、恋愛系でもかわいらしい歌詞の曲が多かったので、この曲のように、女性の秘めたる心理のようなものを赤裸々に歌った曲に、ちょっと戸惑った部分はあるかも知れません。僕が男なので、こういう心理がよくわからなかった、というのもあるでしょう。
でも、何度か聴いていくうちに、というか本当に最近になってですが、この曲の素晴らしさが実感できるようになってきています。ライブで何度も聴いて、少しずつ自分に浸透してきたのかも知れません。自分の気分がぴったりハマッたときに聴くと、曲に感情が持っていかれるような、吸い込まれるような感覚になります。それだけの力を持った曲だと思います。
この曲を含むアルバム「僕の場所」は、本当に傑作なので、この1曲が気になっただけの人にも、買う価値は十分にあると思います。ハマって抜け出せなくなるかも知れませんが(笑)

僕の場所

僕の場所

なんと!サチコさん10月19日には新しいアルバム「三日月の夜」も発売になるということで、非常に非常に非常に楽しみであります!でも話がそれるのでまた別項にでも書きます。