todojunの真理を追究する日々

日々考えていることなどを徒然と書いていきます。

 高校サッカー選手権決勝 野洲 vs. 鹿児島実業

遅くなりました。先日観戦してきた高校サッカーの決勝のレポートです。長いので「続きを読む」を初めて設定することにしました。
会場は国立競技場。家から電車で乗り継いで、1時間もあれば余裕で着く所です。14時05分試合開始だったので、13時過ぎに出発。チケット完売はなさそうだったので、結構のんびりと出発しました。会場前に着いたのが14時ちょっと前だったので、結構ぎりぎりでしたね。コブクロがテーマ曲を歌っていたようで、外にも歌声が聴こえてきました。そこまで混雑もしていなかったチケット売り場を抜け、持ち物検査を通り過ぎ入場。野洲の応援席の方をずっと行ったところ、ゴールに近いところの席に着きました。席はそこまで満杯というわけではななく、だいたい7割程度の入りだったように思います。
試合報告の前に、ちょっと事前知識を。前にも書いたように、僕は準決勝の野洲のプレーに惚れてしまい、急遽(?)決勝観戦を決意したのですが、その間にネット上で野洲についての色々な情報を得ていました。2回戦の四日市中央工戦の見事なゴールも見ていたし(ネット上にupされていた)、僕と同じように野洲のプレースタイルが気に入っている人の意見も沢山見ました。そして、対戦相手である鹿児島実業が県大会から9戦連続無失点であり、本大会でもほとんどのチームに圧勝してきているという事実から、鹿実圧倒的優勢という声が多数あったことも見ていました。野洲が色々言われているけど、やっぱり鹿実が無難に勝つでしょ、という意見が数多くありました。
そのような事前知識のもとに、僕が決勝で望んでいたことは、野洲鹿実から1点を取ることです。やはり鹿実は圧倒的な力で勝ち進んできたし、野洲がそのチームに勝つという期待はしづらい。もちろん、勝ってくれたら最高だけど、まずは鹿実から1点を取ること、今まで無失点の鹿実から1点取ってくれれば、それだけで野洲は他のチームとは違う!ということをアピールできるわけで、まずはそこに期待していました。
もう1つ注目していたのが、ディフェンスラインでどれだけボールを回せるかということ。鹿実には歯が立たないだろう、という意見の理由の多くに、鹿実のプレッシャーが強くて野洲は自由にボールを回せないというのがあったので、その辺のところを野洲はうまく対応できるのか、というところに注目していました。
試合に入る前に、印象に残ったことを2つ挙げておきます。1つは、それぞれの校歌が実に対照的だったこと。鹿実の方は、プレースタイルと同じく堅実で硬派な感じの歌。一方野洲の方は、女性の唄声でしかも軽やかな感じの歌。これも野洲のプレースタイルらしい歌でしたね。この辺から既に面白かったです。校歌については、テレビ中継でも流れたので見た人は知っていると思います。
もう1つは、恐らく中継では映っていなかったと思うのですが、野洲高校が試合開始直前に円陣を組む際、一度放射状にバーっと広がってまた戻ってくるのが、とても綺麗で印象的でした。客席も結構盛り上がっていましたよ。
さて、ようやくキックオフです。野洲ボールで大きく蹴り出す所からスタート。この時点で既に、おや?という思いがしました。開始早々大きく蹴り出すとは野洲っぽくないなぁと。そしたら、案の定序盤のプレースタイルはいつもと違いました(何試合も見てきたわけではないけど)。ディフェンスは細かいパスでつながずに、バンバン前に蹴り出します。うーん、やっぱり鹿実のプレスがきついのかなぁ、と思っていましたが、両チームチャンスらしいチャンスを作り出せないまま序盤が過ぎていったとき、これはなかなかやるんじゃないか、と思いました。たしか、野洲の山本監督が鹿実戦を前に、「鹿実ははじめの15分の猛攻がすごい。ここを耐えられるかどうかが大きい」というようなことを言っていたので、こんなにあっさりと序盤を切り抜けられたのは、まさに山本監督の思惑通りではないかと思ったのです。
そして、徐々に野洲は細かいパス回しを増やしていき、ボールポゼッション率も高くなっていきました。この時点で、野洲は序盤の鹿実の猛攻を、大きなクリアで回避しようという作戦を取っていたことを確信しました。それでプレスが弱くなってきたら徐々にパスをつないでいこうという。この作戦は見事に決まりまして、野洲はワンチャンスをものにして1点を先制しました。青木選手の突破でファールをもらい、フリーキックのこぼれ玉をもう一度上げて、ファーに走りこんだ荒掘選手のヘディングシュートでしたね。キーパーに当たってゴールラインぎりぎりのところにこぼれたボールに、野洲の選手2人が猛然と走りこんでいったとき、「これいったんじゃね!?」と興奮し、そして見事ゴール。「おー!!」と言いながら、心の中は「すげぇすげぇ」と思っていました。この予想外の展開には本当に興奮しました。これから先、息詰まる熱戦に独り言を連発することになります(笑)
その後は、お互い決定的なチャンスはほとんどなく、前半45分が終わりました。野洲が先制して以降、後半同点に追いつかれるまで、ずっとドキドキしっぱなしでした。残り時間の長いこと長いこと。これが今までと同様40分ハーフだったらなぁー、と何度も思いました。
さて、前半は野洲ペースでずっと進んでいましたが、さすがに後半は鹿実も立て直してくるだろう、と思っていました。さすがに、このままでは終われないだろうと。そしたら、やっぱり後半は鹿実が攻めに攻め、かなりの時間が野洲サイドでのプレーになりました。それでも、野洲のディフェンスはものすごく粘り強くて、シュートコースにことごとく体を入れて防いでいました。これは本当に見事でしたねぇ。危ないシーンでも、得点入る気しませんでしたもん。
しかし、後半30分過ぎに、こぼれ玉のオーバーヘッドシュートをヘッドでクリアしてホッとしたのも束の間、ちょんと中に上げたボールを迫田選手にヘッドで決められてしまいます。あのものすごい体勢からのオーバーヘッドシュートには、闘志のようなものを感じましたねぇ。ゴールへの執念が生んだ得点だと思います。泥臭い点の取り方だとは思いましたが、そこに鹿実らしさを感じました。しかしこの得点には思わず「入った!!」と叫んでしまいましたね。この言葉が出たってことは、まぁ何とか耐えられるだろうと無意識のうちに思っていたということです。
そんなわけで、なんとか踏ん張ってくれーという願いもむなしく同点に追いつかれてしまったわけですが、その後は野洲の方も何度もチャンスを作り出してくれました。一度大きなシュートチャンスを横パスしてカットされたときは、そこ打ってくれよー!って本気で思いました。他にも相手ゴール前で横パスでつないだりして、なんだかラグビーを見ているのかと思いました。よく考えたら、ラグビーってスクラムのとき後ろに人がいてそこにボールを出すから、この点でも野洲のサッカーってラグビーに似てますね。
後半終了が近づくにつれ、延長戦ってあるんだっけ?というのが気になってきました。決勝とその他では試合形式が異なるので、この辺のことよくわかってなかったんですね。結局そのまま後半が終了し、10分ハーフの延長戦が行われるということを知ってちょっとホッとしました。同点でPKというのが1番後味が悪いと思っていたので。
両チームとも、念入りに足をほぐした後、延長戦が始まりました。延長前半は、鹿実が何度か決定的なチャンスを作って、本当に冷やりとしました。ゴール前でボールを受け取り振り返りざまのシュートをキーパーがナイスセーブ、センタリング(コーナーキックだったかな)をヘッドでサイドネット。この2本のシュートには本当にびびりました。特に2本目は一瞬入ったかと思って、「入った!?」とか言ってしまいました。「おーサイドネットサイドネット」となんとかホッとしましたが、リプレイを見て超ギリギリだったのでぞっとしました。
延長後半に入っても、鹿実の攻勢が続きます。それでも、なんとかのところで踏ん張っていたし、野洲ならワンチャンスでも何とかしてくれる、何かやってくれる、という気持ちは持っていました。恐らく多くの観客は同様のことを思っていたのではないでしょうか。まだまだ何かやってくれそうな雰囲気はありました。そんな中起こったのがあの奇跡的なスペシャルゴールです。あのタイミングでのゴールは、本当に観客の心を鷲掴みにしました。ディフェンスからの大きなサイドチェンジから、あれよあれよという間にゴールしてしまいました。
このサイドチェンジ、いろんなところで絶賛されていますが、僕はちょうど席がボールの軌道と直角の位置にあったので、テレビの映像よりさらにその素晴らしい軌道を見ることができました。テレビでも分かるとおり「おー」となった後、乾選手の意表をつくバックパスでさらにテンションがアップ。そこからスルーパスが出たときには、打て打て!と思っていたのですが、なんとさらにそこからゴール前に短いセンタリングを上げて見事ゴール!もうやばかったですよ、これ。「うぉー!!」という感じで立ち上がって雄叫びのようなものを上げていました(笑) 野洲側のスタンドにいたこともあって、周りみんなが同じように大声を上げていました。もう会場全体の空気はものすごいことになってましたね。
もうこのゴール(までのシーン)を見れただけでも、観に来てよかった!って思いましたね。ゴールの瞬間の光景は、ずっと目に焼き付けたまま一生忘れないぞ!って思いました。本当に本当に感動的なシーンでした。最後の最後に野洲の真骨頂が出るなんて、こんな意味不明に奇跡的な展開はなかなかないですよ。今となっては、鹿実の後半の同点ゴールは、この展開のお膳立てではないかと思ってしまうくらいです。何にせよ、こんな素晴らしい試合が見れたことがうれしくてうれしくて仕方ありませんでした。
そうそう、このゴールの直後、鹿実の何人かの選手が副審にオフサイドではないかとちょっと詰め寄るシーンがありました。これはテレビでは映っていないシーンでしたね。ゴールの瞬間にも手を挙げてアピールしていたし、僕自身もオフサイドではなかったのかどうかよく確認できていなかったので、テンションは最高潮ながらも、実はちょっとそこは気がかりでした。あれだけのプレーを見せてもらったのだから、それだけでも大大満足なのですが、これでスロー再生でオフサイドだったことがわかったりなんかしたら、後味が非常に悪いので、オフサイドだけは勘弁、と思っていました。で、リプレイで見たら全くオフサイドではなかったので、「オフサイドじゃない、オフサイドじゃない」とちょっと大きめな独り言をつぶやきながらホッとしたのでした。周りはあまり気にしていなかったっぽく、ちょっと浮いてしまいました。。
その後、ロスタイムが2分もあると知って、延長戦にロスタイムあるの?と驚いたり、鹿実フリーキックにキーパーまでもが上がってきて不思議な光景が見られたのとちょっと冷やりとしたのがあったり、そのラストに思われたフリーキックの後も即終了にはならなかったので、場内がちょっと騒然となったりしましたが(家に帰ってみたら、乾選手がすごく驚いた表情を見せていました)、無事そのまま試合は終わり、野洲が2-1で勝利を収めました。
いやぁ、もう感動的でしたね。久しぶりのサッカー観戦で、本当に素晴らしい試合を見せてもらいました。もう本当に感動してしまって、内側から込み上げるものがあったのですが、人前で泣きたくないなぁ、なんて思ったので、涙はまぶたの裏側までに留めておきました。あのまま感情に任せてたら、きっとヒクヒク泣いてたのだろうと思います。
試合終了後は、かなりの割合の人が会場を後にしましたが、僕は表彰式や野洲の選手たちが応援席に挨拶に来るところ、そして選手が戻って行くところまで見届けてから帰ってきました。選手が応援席の人たちに向かって、満面の笑顔で手を振っていたことがすごく印象的でした。観ている人たちに沢山の笑顔をくれる子達だなーなんて思いました。そういえば、前半や後半、延長戦の始まりに、応援席の方に来て、盛り上げてくれ!というような仕草(走り幅跳びの選手とかがよくやるやつ)をしている選手がいたのですが、あれは乾選手だったようです。乾選手って底抜けに明るくて、プレーもキレがあって素晴らしいし、観る人を非常に引き付けますね。
こうして感動的な試合観戦は終わりました。帰りの電車内では、ずっと今日見た試合のことが頭の中をぐるぐる回っていて、家に着いたらすぐ録画映像をみることになるのでした。
以上、観戦記でしたが、野洲高校についてはまだ語りたいことがあるので、それはまた別の機会に書くことにします。